不二山ふじさん)” の例文
不二山ふじさんと、大蘇鉄だいそてつと、そうしてこの大理石の墓と——自分は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な索漠さくばくさを感じて、匆々そうそう竜華寺の門をあとにした。
樗牛の事 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「君、不二山ふじさんを翻訳してみたことがありますか」と意外な質問を放たれた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かつそれ烟管キセル・喜世留、硝子ガラス・玻璃、莫大小メリヤス・目利安、不二山ふじさん・冨士山のたぐい一物いちぶつ字をことにし、長谷はせ愛宕あたご飛鳥あすか日下くさか不入斗いりおまず九十九つくものごとく、別に字書を作るにあらざれば知るべからず。
平仮名の説 (新字新仮名) / 清水卯三郎(著)
小泉八雲こいづみやくも一人ひとりを除けば、かくロテイは不二山ふじさん椿つばきやベベ・ニツポンを着た女と最も因縁いんねんの深い西洋人である。そのロテイを失つたことは我我日本人の身になるとまんざら人ごとのやうに思はれない。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)