)” の例文
去年の秋小学高等科を優等で卒業してから、村中の者が、その娘を叱ることばには、必ずみの家のお小夜さんを見ろというように評判がよいのである。
新万葉物語 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
死んだのは四十五で、後には痩せた、雀斑そばかすのあるおみさんと、兵隊に行っている息子とが残っている。
ひょっとこ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
み女の梅の持ち来りしを、庄太郎は手に取りて、見て見ぬ振り、無言にお糸の方へ投げ遣りぬ。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
鈴木家はみ馬場仲の小路というところにあり、五段ほどもある庭は丘や樹立こだち泉池せんちなど、作らぬままの変化に富んでいるため、同じ年ごろの友達が集まってはよく暴れまわった。
日本婦道記:墨丸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
所が、平吉がお目見得めみえをしてから二月ばかりするとそこのおみさんがふとした出来心から店の若い者と一しょになって着のみ着のままでかけ落ちをしてしまった。
ひょっとこ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)