サン)” の例文
其について思ひ起すのは、友人永瀬七三郎君が、北河内サンクチ(野崎の近辺)に住んだ頃、こもろいと言ふ形容詞をよく耳にした。
方言 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ラジオが叫ぶイチサンンの号令に合わせて、課長は巨体をブンブンと振って、ラジオ体操を始めた。彼は何とはなしに、子供のような楽しさと嬉しさとがはらの底からこみあげて来るのを感じた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
口の悪きサンが湯屋での陰口も、露知りたまはぬ奥方は、三を唯一無二の、幕僚と信じたまひ、またしても旦那どののお手柄ばなし、今度は五千円の訴訟に勝ちたまひし、やがては一万円の公事にもと
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)