一昨日いっさくじつ)” の例文
一昨日いっさくじつの旅館の朝はどうだろう。……どぶの上澄みのような冷たい汁に、おん羮ほどにしじみが泳いで、生煮えの臭さといったらなかった。……
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「本年は陽気のせいか、例年より少し早目で、四五日ぜんがちょうど観頃みごろでございましたが、一昨日いっさくじつの風で、だいぶいためられまして、もう……」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はア一昨日いっさくじつは余程お悪いようでございましたが、昨日さくじつよりいたして段々御快気におもむき、今朝こんちょうなどはおかゆを三椀程召上りました、其の上お力になる魚類を召上りましたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たずねてると、一昨日いっさくじつから地主じぬし老人ろうじんは、しゃっくりがとまらないので、すっかりからだがよわって、とこについているということでした。それで、海蔵かいぞうさんはお見舞みまいにまくらもとまできました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ドゥニャーシャ 一昨日いっさくじつ、トロフィーモフさんがいらっしゃいました。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ところでロパーヒンさん、事のついでに一言申し添えますが、じつは一昨日いっさくじつ、長靴を新調したところが、いや正真正銘のはなし、そいつがやけにギュウギュウ鳴りましてな、どうもこうもなりません。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
初の烏 はい、一昨日いっさくじつから、北海道の方へ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)