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をんなごころ
其室は当時
家中に
聞えし美人なりしが、
女心の
思詰めて一途に家を明渡すが
口惜く、
我は
永世此処に
留まりて、外へは
出でじと、
其居間に
閉籠り、内より
鎖を
下せし
後は、
如何かしけむ
一同御呼出になり
御尋ねありし時は一向に其場へ
面出もせず夫ゆゑ今に
夫の
證りも立ず不實と云ふも
餘りあり御前の
在家さへ知れなば文右衞門の身分は
直樣證りが立御免のあるに
相違なし
恨しきは市之丞殿と
女心の一※に
迫り
口惜紛れに市之丞へ喰付呉んとするゆゑにお梅は
惘れて茫然たりしがマア/\御新造樣其所を