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れんがづくり
氷川なる邸内には、
唐破風造の昔を
摸せる
館と相並びて、帰朝後起せし三層の
煉瓦造の
異きまで目慣れぬ式なるは、この殿の
数寄にて、独逸に名ある古城の
面影を
偲びてここに
象れるなりとぞ。
明眸の左右に
樹立が分れて、
一条の大道、炎天の
下に
展けつつ、
日盛の町の大路が望まれて、
煉瓦造の避雷針、古い
白壁、寺の塔など
睫を
擽る中に、行交う人は点々と
蝙蝠のごとく
椰子、
檳榔子の生え茂つた山に添つて、城のやうに
築上げた、
煉瓦造がづらりと並んで、
矢間を切つた黒い窓から、
弩の口がづん、と出て、幾つも幾つも
仰向けに、星を
呑まうとして居るのよ……