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りんきぶか
むかし津山藩主の何とかいつた奥方は、余程
悋気深い
性だつたと見えて、殿の愛妾を
縊め殺した上、太腿の肉を切り取り、それを
羹にして何喰はぬ顔で殿が晩酌の膳に
上しておいた。
ま
主人が女房に隠して、
家にいた若い女に手を附け、それがま懐妊したによって
何時か家内の耳に入ると、
悋気深い本妻が騒ぐから、知れぬうちに
堕胎してしまおうと薬を飲ますと
待てよ! あの
窓から
洩るゝ
光明は? あれは、
東方、なればヂュリエットは
太陽ぢゃ!……あゝ、
昇れ、
麗しい
太陽よ、そして
嫉妬深い
月を
殺せ、
彼奴は
腰元の
卿の
方が
美しいのを
恨しがって