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らんたふば
如是我聞、
佛説阿彌陀經、聲は松風に
和して心のちりも吹拂はるべき御寺樣の
庫裏より生魚あぶる烟なびきて、
卵塔場に
嬰兒の
襁褓ほしたるなど、お宗旨によりて構ひなき事なれども
毒蟲が
苦しいから、もつと
樹立の
少い、
廣々とした、うるさくない
處をと、
寺の
境内に
氣がついたから、
歩き
出して、
卵塔場の
開戸から
出て、
本堂の
前に
行つた。
瓦屋根の高く
聳えて
居るのは
古寺であつた。
古寺は
大概荒れ果てゝ、
破れた
塀から
裏手の
乱塔場がすつかり見える。