“そとがわ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
外側53.8%
外廓15.4%
外囲7.7%
外廊7.7%
外部7.7%
外部側7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは私に、外側そとがわは立派な癖に目に付かない内側の方の円天井が、外気の交通を遮断されて長年の間に腐ってしまった、古い木造普請の全体を想わせるような趣があった。
正月の十五日過ぎに、岸本は同じ路を歩いて行くことを楽みに思いながら、ある大きなやしき外廓そとがわについて郊外らしいみちの曲り角へ出た。その辺で、谷中から遠く通って来る節子を待受けた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お夏はかざしていた日傘の柄を横に倒してじっと見たが、右手めてに商品陳列所の外囲そとがわが白ずんで、窓々の硝子がらすがぼやけて見えるばかりか、蝉の声さえ地の下に沈んで、人気はなく
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
植え込みは手薄で門も小さくて、どこかに瀟洒としたところはあったが、グルリと外廊そとがわを巡ったならば、二町ぐらいはありそうに見えた。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
退屈の刻を、数十すじゅうの線にかくして、行儀よく三つ鱗の外部そとがわを塗り潰す子と、尋常に手を膝の上に重ねて、一劃ごとに黒くなるまるの中を、端然たんねんと打ち守る母とは、咸雍かんようの母子である。和怡わいの母子である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼はお延を慰めにかかった。彼女の気に入りそうな文句を多量に使用した。沈着な態度を外部側そとがわにもっている彼は、また臨機に自分を相手なりに順応させて行く巧者こうしゃも心得ていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)