“こめかみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コメカミ
語句割合
顳顬82.5%
蟀谷12.4%
米噛2.3%
1.1%
後額0.6%
顳顓0.6%
顳顱0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
急に暗い眼つきをして、窓のほうへぼんやりと視線を漂わせていたが、右手の人差し指を曲げて顳顬こめかみにあてがうと、沈み切った声で
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
蟀谷こめかみのところへ紫色の頭痛こうなんぞをって、うるんだ目付をして、物を思うような様子をして、へえ前の処女おぼこらしいところは少許ちっともなかった。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まだうぐいすが庭で時々鳴く。春風が折々思い出したように九花蘭きゅうからんの葉をうごかしに来る。猫がどこかでいたまれた米噛こめかみを日にさらして、あたたかそうに眠っている。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(21) 一八〇二年に画家ホルネマンの描いたベートーヴェンの細画像ミニアチュールは当時の流行的服装をした彼を示している。こめかみの鬚を生やし長髪でバイロンの描いた人物のような悲劇的な様子をしている。
怒れるティデオがメナリッポの後額こめかみを噛めるもそのさま之に異ならじとおもふばかりにこの者腦蓋なうがいとそのあたりの物とをかめり 一三〇—一三二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
立ちたる者顏を後額こめかみのあたりによすれば、より來れるざい多くして耳たひらなる頬の上に出で 一二四—一二六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
初冬はつふゆの凍つた明い朝なぞ、忽然冷えきつた鏡のおもてに、顳顓こめかみ白髮しらがを見出した時の驚愕おどろき、絶望、其れは事實に對する恐怖であるが、これは自分の心が生みだす空想の恐怖である幻覺ハルシネイシヨンである。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
顳顱こめかみの上の筋肉が激しく震へ唇が青くなつて居る。