“こきつか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
苦使20.0%
駆使20.0%
使役20.0%
扱使10.0%
苦役10.0%
虐使10.0%
酷使10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼女の唯一の骨肉であり親愛者である弟も、人づかひのはげしい大阪の方で、尫弱よわい体で自転車などに乗つて苦使こきつかはれてゐた。彼女は時々彼に小遣などを送つてゐた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
私だつて金属かねで出来た機械ぢやなし、さうさう駆使こきつかはれてお為にばかり成つてゐちや、這箇こつちの身が立ちはしない。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
竹山は、「一日いちんちも早く新聞の仕事に慣れる様に、」と云つて、自分より二倍も身体の大きい長野を、手酷しく小言を云つては毎日々々使役こきつかふ。校正係なら校正だけで沢山だと野村は思つた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
長い間の戦争に扱使こきつかはれてゐた、栄養のない顔が、ひしめきあつて、ゆき子の周囲を流れてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
お前なんざ、真実ほんとうに苦労というものをして見ねえんだから駄目だ。おれなんざ、なんしろ十四の時から新川へ奉公して、十一年間苦役こきつかわれて来たんだ。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「また寝そべつたか、困るだなア、われ、余りひど虐使こきつかふでねえか」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
機織工はたおりこう七分に農民が三分という、物質には恵まれない寒村で、一生ほとんど給銀もなしに酷使こきつかわれる若い男女は、日頃ひそかに二銭三銭と貯蓄して、春秋二期の恒例になっている
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)