-
トップ
>
-
かしゆかた
一瀬を
低い
瀧に
颯と
碎いて、
爽かに
落ちて
流るゝ、
桂川の
溪流を、
石疊で
堰いた
水の
上を
堰の
其の
半ばまで、
足駄穿で
渡つて
出て、
貸浴衣の
尻からげ。
そうして同じ彼等の姿が再び欄間の上から曲折して
下って来るのを
疎い眼で眺めた。彼らは必ず
粗い
縞の
貸浴衣を着て、日の照る時は
手拭で
頬冠りをしていた。
衣桁をみると、ゆうべ、かれによく似合っていた宿の
貸浴衣が、
皺になって脱いである。