“かくれが”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
隠家72.5%
隱家10.0%
隠処5.0%
匿家2.5%
隠栖2.5%
隠棲2.5%
隠遁所2.5%
隱所2.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、人々が、騒ぎ始める時分には、椅子の中の隠家かくれがへ逃げ帰って、息をひそめて、彼等の間抜けな捜索を、見物していればよいのです。
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
天が下には隱家かくれがもなくなつて、今現身げんしんの英傑は我が目前咫尺の處に突兀として立ち給うたのである。自分も立ち上つた。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そういう隠処かくれがのある世帯持は幸福だが、情けないのは独身者ひとりもので!
刀の在所ありか仇敵かたき匿家かくれがまで教えて呉れた其の功にでゝ、永く苦痛をさするも不便ふびんゆえ、この小三郎が介錯して取らせるぞ
その一夏の間、僅かに彼の心を慰めたものは、鎌倉でしばしば岡見を見たことだ。鎌倉にある岡見の隠栖かくれがは小さな別荘というよりもむし瀟洒しょうしゃな草庵の感じに近かった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あらゆる不幸の隠棲かくれがにおいて、そこでは虚栄に満ちた人が自分の小さな果敢ない権勢をたのんで、しっかり戸を閉めて、精霊を閉め出してしまうようなことがないからして、彼はその祝福を授けて
越後国、春日山の城主、上杉謙信の旧家臣、直江蔵人くらんど隠遁所かくれがである。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は風に吹きやられながら果樹園の隱所かくれがへ行つてみた。茫漠とした風は終日南の方から強く吹きつけてゐたのである、しかし雨は一滴もまじへないで。