隱家かくれが)” の例文
新字:隠家
あゝカセンティーノの麓に、横さまに流るゝ水あり、隱家かくれがの上なるアペンニノより出で、名をアルキアーノといふ 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
天が下には隱家かくれがもなくなつて、今現身げんしんの英傑は我が目前咫尺の處に突兀として立ち給うたのである。自分も立ち上つた。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
新鮮さを澁面じふめんに化してゐた——其處では山は孤獨の寂しい願と沈默に入る最後の隱家かくれがまもつてゐた。
奪取うばひとりたれば江戸は面倒めんだうなるべししかず此より上方に取てかへし中國より九州へわたらんにはとつひに四國に立越たちこえしが伊豫國なるふぢはらと云ふ山中に來り爰に一個ひとつ隱家かくれがを得て赤川大膳あかがはだいぜんと姓名をへんじ山賊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は、勉強室といふ聖所を立去るように、呼びに來られる筈はなかつたから。今は、そこは、私にとつては、聖所となつてゐた——「わづらはしき時のいとも心地よき隱家かくれが
そして暫く立つてゐて話しかけられてゐたが、やがてみんな間もなく來るんだらうから僕は居間で待つてゐる、と云ひ捨てゝ隱家かくれがへ這入るやうに居間に引込んで了つた。