-
トップ
>
-
おへやずみ
御部屋住の前次様のお附き元締兼勤を仰付けられました。
心配の餘りまた
御部屋住の若旦那へ御咄し申すも
如何とは存じたなれども
急場の事にて
十方に暮參りまして
何うにか
御工風は御座りますまいかと
誠しやかに
述るにぞ世間知らずの千太郎聞くより大いに
仰天し心の内は
狂氣のごとく
溜息つきつゝ居たりしが如何なしたら
能らんと
言ふ
尾に付て長庵は
暫時なりとも
取外す儀は
叶ひ難し其故は聖護院
宮樣御配下天一坊樣御身分は當將軍
吉宗公の未だ紀州公
御部屋住の時分女中に
御儲けの若君にて
此度江戸表へ
御下向あり
御親子御對顏の上は
大方は西の丸へ
直らせらるべし左樣に
輕からぬ
御身分にて徳川は
御苗字なり
又葵は
御定紋なり其方
輩が少しも
案じるには