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いくそう
夕風と夕汐のこの刻限を計って
千石積の大船はまた
幾艘となく沖の方から波を
蹴ってこの港口へと進んで来る。
小さな渡し船は、川幅よりも長そうな荷足りや
伝馬が、
幾艘も縦に
列んでいる間を縫いながら、二た
竿三竿ばかりちょろちょろと
水底を
衝いて往復して居た。
何とせん
道を
間違へたり
引返してと
復跡戻り、
大路に
出れば
小路に
入らせ
小路を
縫ては
大路に
出で
走幾走、
轉幾轉、
蹴立る
雪に
轍のあと
長く
引てめぐり
出れば
又以前の
道なり