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あらものみせ
大工町という
片側町で、片側はお寺ばかりある処へ
荒物店を出し、詰らぬ物を売って商い致す
中に、お梅もだん/\慣れまして、
外に
致方も無いから
人仕事を致しますし、碌には出来ませんが
床店の
筋向うが、やはりその
荒物店であります
処、
戸外へは水を打って、
軒の
提灯にはまだ火を
点さぬ、
溝石から往来へ
縁台を
跨がせて、
差向いに
将棊を
行っています。
端の
歩が
附木、お
定りの奴で。
女房おみねと栗橋へ
引越し、幽霊から貰った百両あれば
先ずしめたと、懇意の馬方
久藏を頼み、此の頃は諸式が安いから二十両で立派な
家を買取り、五十両を
資本に
下し
荒物見世を開きまして