立寄たちよ)” の例文
かみづつみの鹽煎餅しほせんべいと、夏蜜柑なつみかんつて、立寄たちよつて、ことばつうぜずなぐさめたひとがある。わたしは、ひとのあはれと、ひとなさけなみだぐんだ——いまかるゝ。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ハッと思ううちに、貴婦人は昨夜ゆうべの如く、長いすそいてするすると窓の口へ立寄たちよって、両肱りょうひじを張って少しかがむかと見えたが、何でも全身の力を両腕に籠めて
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ふのは、おいと長唄ながうた稽古けいこ帰りに毎朝まいあさ用もないのに屹度きつと立寄たちよつて見る、れをば長吉ちやうきちは必ず待つてゐる様子やうすの時間ごろには一足ひとあしだつて窓のそばを去らない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
重田しげたさんが立寄たちよった。重田さんは隣字となりあざの人で、気が少し変なのである。躁暴狂そうぼうきょうでもなく、憂欝狂ゆううつきょうと云う訳でもなく、唯家業の農を抛擲ほうてきしてぶらぶら歩いて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
わたくし中食後ちゅうじきご散歩さんぽ出掛でかけましたので、ちょっと立寄たちよりましたのです。もうまるではるです。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うたがひはかる柳闇花明りうあんくわめいさとゆふべ、うかるヽきのりやとれど品行方正ひんかうはうせい受合人うけあいてをうければことはいよいよ闇黒くらやみになりぬ、さりながらあやしきは退院たいヽんがけに何時いつ立寄たちよれのいゑ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ちよい/\ねんに四五回位くわいくらゐは、ほか表面採集へうめんさいしふついでに立寄たちよつて、磨石斧ませきふ石劒折せきけんをれ打石斧だせきふ其他そのたひろつてたが、四十ねんぐわつ十四に、一人ひとり加瀬かせ駒岡こまをかから、此方こつち採集さいしふとき
役所よりの帰途きと、予が家に立寄たちより、今日俸給ほうきゅうを受取りたりとて、一歩銀いちぶぎん廿五両づつみ手拭てぬぐいにくるみてげ来られ、予がさいしめし、今日きょうもらって来ました、勇気ゆうきはこれに在りとて大笑たいしょうせられたり。
市郎も立寄たちよってあらためた。彼は医師である。左右の人々に吩附いいつけて、かくもお杉を我家へき入れさせた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
両国橋りやうごくばし新大橋しんおほはしとのあひだ一𢌞ひとまはりしたのち長吉ちやうきちはいよ/\浅草のはうへ帰らうと決心するにつけ、「もしや」といふ一念にひかされて再び葭町よしちやう路地口ろぢぐち立寄たちよつて見た。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あひ宿しゆくで、世事せじよういさゝかもなかつたのでありますが、可懷なつかしさあまり、途中とちう武生たけふ立寄たちよりました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたくし中食後ちゆうじきご散歩さんぽ出掛でかけましたので、ちよつ立寄たちよりましたのです。もう全然まるではるです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
やがて其秋そのあきには、のこらず貝塚かいづかひらかれて、はたけつてしまつたが、それでも余等よら未練みれいかされて、表面採集ひやうめんさいしふ時々とき/″\立寄たちよるが、其後そののちとても、土偶どぐう磨石斧ませきふ、三十七ねんの九ぐわつには
れをば通りがゝりの人が四人も五人もぼんやり立つて見てゐるので、長吉ちやうきちはいゝ都合だと同じやうにつりながめるふりのそばに立寄たちよつたが、もう立つてゐるだけの力さへなく
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
加之しか眼眩まばゆきばかりに美しく着飾った貴婦人で、するすると窓のそば立寄たちよって、何か物を投出なげだすような手真似をしたが、窓は先刻せんこく私がたしかじたのだから、とても自然にく筈はない。
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
御堂おどうは申すまでもありません、下の仮庵室かりあんじつなども至極しごくそのすずしいので、ほんの草葺くさぶきでありますが、と御帰りがけにお立寄たちより、御休息なさいまし。木葉きのはくすべて渋茶しぶちゃでも献じましょう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日きょうこのまちなにかのようでちょっと通掛とおりかかったので、この場所ばしょ立寄たちよったとのことで。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
くして四ごろ發掘はつくつめ、同邸どうていし、公爵こうしやく汽車きしやにて歸京ききやうせられ、博士はかせ水谷氏みづたにしとは、とも權現臺ごんげんだい遺跡ゐせきまはり、それから、わが太古遺物陳列所たいこゐぶつちんれつじよ立寄たちよつて、飯田氏いひだし採集品さいしふひんを一けん
翌年よくねん一月いちぐわつ親類見舞しんるゐみまひに、夫人ふじん上京じやうきやうする。ついでに、茅屋ばうをく立寄たちよるといふ音信たよりをうけた。ところで、いまさら狼狽らうばいしたのは、そのとき厚意こうい萬分まんぶんいちむくゆるのに手段しゆだんがなかつたためである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今日けふまちなにかのようちよつ通掛とほりかゝつたので、場所ばしよ立寄たちよつたとのことで。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それがために意地汚いぢきたなく、歸途かへりうした場所ばしよ立寄たちよつた次第しだいではない。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところで、その、お差支さしつかへのなさをうらがきするため、かね知合しりあひではあるし、綴蓋とぢぶた喜多きた家内かないが、をりからきれめの鰹節かつをぶしにんべん買出かひだしにくついでに、そのねえさんのうち立寄たちよつて、同行三人どうかうさんにん日取ひどりをきめた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勿論もちろん田端たばたからかへりがけに、ぐにそのいへ立寄たちよつたのであるが。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)