無用むよう)” の例文
別なことばでいふとこぼたねだ。だから母夫人の腹に、腹の違ツたあにか弟が出来てゐたならば勝見家に取ツて彼は無用むよう長物ちやうぶつであツたのだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
醜男面ひょっとこづら假面めん無用むようぢゃ!(と假面を抛出なげだしながら)れが皿眼さらまなこで、このともないつらやがらうとまゝぢゃ! 出額でこすけあかうなるばかりぢゃわい。
不面目ふめんもくゆゑ、国許くにもと通知つうち無用むよう、と当人たうにんかためたものゝ、はいやうで、とばかりで旅籠屋はたごやではましてられぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おまえさんにあやまらせようとおもって、こんなにおそく、わざわざひとりでわけじゃァさらさらない。わびなんぞは無用むようにしておくんなさい」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そのことまをげるだけ、無用むよう口數くちかずぎますまい。ただみやこへはいるまへに、太刀たちだけはもう手放てばなしてゐました。——わたしの白状はくじやうはこれだけです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さりながら人気じんき奴隷どれいとなるも畢竟ひつきやう俗物ぞくぶつ済度さいどといふ殊勝しゆしようらしきおくがあればあなが無用むようばゝるにあらず、かへつ中々なか/\大事だいじけつして等閑なほざりにしがたし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
とき幾多いくた民家みんか猶且やつぱり非常ひじやう慘害さんがいかうむつて、村落むらすべては自分じぶんしのぎがやつとのことであつたので、ほとんど無用むようであるれう再建さいこんかへりみるものはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『たゞ無用むようなる吾等われらが、いたづらに貴下等きからわずらはすのをうれふるのみです。』とかたると、大佐たいさいそそのげんさへぎ
まあおちなさい、左様さよういまはるとお未来みらいに、監獄かんごくだの、瘋癲病院ふうてんびょういん全廃ぜんぱいされたあかつきには、すなわちこのまど鉄格子てつごうしも、この病院服びょういんふくも、まった無用むようになってしまいましょう、無論むろん
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なんことだに心配しんはい無用むよう小梅こうめ八木田やぎた年來としごろ持物もちもので、ひとにはゆびをもさゝしはせぬ、ことにはせがれ、はなくにつて紫蘇葉しそはにつゝまれようとものだに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
學海居士ガクカイコジ批評ひゝようたいして無用むようべんついやさんとするものにあらず、みぎきたるは、居士コジ批評法ひゝやうほふ如何いか儒教的じゆけふてきなるや、いかに勸善懲惡的くわんぜんてふあくてきなるやをしめさんとしたるのみ
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「なんで、わたしに、こんなものをかぶせたのだろう? ほかに、いくらも、帽子ぼうしをほしいとおもっているものがあろうのに……。」と、無用むようなことをするものだなとはらをたてたのでした。
頭をはなれた帽子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかるに幕府の始末しまつはこれに反し、おだやかに政府を解散かいさんして流血りゅうけつわざわいけ、無辜むこの人を殺さず、無用むようざいを散ぜず、一方には徳川家のまつりを存し、一方には維新政府の成立せいりつ容易よういならしめたるは
それでみなさんも古墳こふんつたり、石器せつき採集さいしゆうかけたりするときには、さういふふるかはらひろふこともありませうから、かはらはなしすこつてくのも、まったく無用むようではありますまい。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
終生しゅうせいこのことばをもって通した信玄しんげんには、ものものしい要害ようがい無用むようであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『そりや心配しんぱい無用むようだ。ではすぐにでも出発しゆつぱつしようか。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
さッさいなよわしゃんせ。土平どへい自慢じまん人参飴にんじんあめじゃ。遠慮えんりょ無用むようじゃ。わしゃんせ。っておせんにれしゃんせ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
としたら、貴方あなたが、ちからを似て自分を壓しやうといふことは、殆ど無用むよう惡踠わるあがきと云はんければならぬ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ちかひ形式けいしきです。けれど愛國あいこくじやうふかきみは、あやまつてもこの秘密ひみつをば、無用むようひともらたまふな。』
さすれば無用むようつひえせつせむ、なんぢ一人いちにん奉公ほうこうにて萬人ばんにんのためになりたるは、おほ得難えがた忠義ちうぎぞかし、つみなんぢはづかしめつ、さぞ心外しんぐわいおもひつらむが、見棄みすてずば堪忍かんにんして、また此後このごたのむぞよ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まあおちなさい、左樣さやういまはるとほ未來みらいに、監獄かんごくだの、瘋癲病院ふうてんびやうゐん全廢ぜんぱいされたあかつきには、すなはまど鐵格子てつがうしも、病院服びやうゐんふくも、まつた無用むようになつてしまひませう、無論むろん然云さういとき早晩さうばんませう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
無用むようよう
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さァさた、こっちへおいで、たかやすいの思案しあん無用むよう思案しあんするなら谷中やなかへござれ。谷中やなかよいとこおせんの茶屋ちゃやで、おちゃみましょ。煙草たばこをふかそ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ぐん官吏共くわんりどもでもみなつま無用むよう長物ちやうぶつだ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
辭退じたいはかまへて無用むようなり
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぐん官吏共かんりどもでもみなつま無用むよう長物ちょうぶつだ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)