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喉
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のど
ふりがな文庫
“
喉
(
のど
)” の例文
誰
(
だれ
)
だろう。誰か知っている人だったか。二、三度視線を新聞と往復させ、ふいに彼の
喉
(
のど
)
に叫びのようなものがのぼってきた。頼子だ。
十三年
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
傷は
喉
(
のど
)
へ一箇所、馬乗りになって突いたものでしょうが、よッぽど落着いた手際で総兵衛はたぶん声も立てずに死んだことでしょう。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
六兵衛はわれ知らず逃げ腰になり、口をあいて
喘
(
あえ
)
いだ。口をあかなければ
喉
(
のど
)
が詰まって、呼吸ができなくなりそうだったからである。
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二人の鵜匠は手縄を
曳
(
ひ
)
いて鵜を舟にあげた。
労役
(
ろうえき
)
を終った鵜は嬉しそうにそれぞれ羽ばたきをして、大きな
喉
(
のど
)
を川風にふくらました。
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ロボはその
喉
(
のど
)
に食いついたなり、身を
沈
(
しず
)
め、うんとふんばると、
牝牛
(
めうし
)
は、角を地についてまっさかさまに大きくとんぼ返りに
倒
(
たお
)
れる。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
▼ もっと見る
疲労と、恐怖の為に、
喉
(
のど
)
は呼吸をするのも痛い程、カサカサに乾いて来る。彼のその時の気持を、何と形容すればよいのであろうか。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『ハ、
否
(
いゝえ
)
。』と
喉
(
のど
)
が
塞
(
つま
)
つた樣に言つて、山内は其
狡
(
ずる
)
さうな眼を一層狡さうに光らして、短かい髭を捻つてゐる信吾の顏をちらと見た。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼らは
喉
(
のど
)
を
涸
(
か
)
らして呼んでいた。彼女はそのままにさしておいて、それから反対の方へ行って呼んだ。ついに彼らは疲れてしまった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ええ、どうしたんだろう私は! と口惜しさ悩ましさにじれてみても、
喉
(
のど
)
まで出そうになる言葉が歯がゆくも心の奥へ
掠
(
かす
)
れてしまう。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしその実、彼はいま笑うどころの
沙汰
(
さた
)
でなかったのである。心臓はずきんずきんと打って、呼吸が
喉
(
のど
)
につまりそうなのであった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
とにかく清逸は大きな声で西山を呼んでしまった。彼は自分の
喉
(
のど
)
から老人のようにしわがれた
虚
(
うつ
)
ろな声の放たれるのを
苦々
(
にがにが
)
しく聞いた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
千枝松は
喉
(
のど
)
の
嗄
(
か
)
れるほどに藻の名を呼びながら歩いたが、声は遠い森に
木谺
(
こだま
)
するばかりで、どこからも人の返事はきこえなかった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私
(
わたし
)
はお
前
(
まえ
)
さんのためを
思
(
おも
)
ってそう
言
(
い
)
って
上
(
あ
)
げるんだがね。とにかく、まあ
出来
(
でき
)
るだけ
速
(
はや
)
く
卵
(
たまご
)
を
生
(
う
)
む
事
(
こと
)
や、
喉
(
のど
)
を
鳴
(
なら
)
す
事
(
こと
)
を
覚
(
おぼ
)
える
様
(
よう
)
におし。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
のつそりハッと俯伏せしまゝ五体を
濤
(
なみ
)
と
動
(
ゆる
)
がして、十兵衞めが生命はさ、さ、さし出しまする、と云ひし
限
(
ぎ
)
り
喉
(
のど
)
塞
(
ふさ
)
がりて言語絶え
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「斯うやってお客さまの
喉
(
のど
)
の
辺
(
あたり
)
を当っているところへグイッと地面が持ち上ったんで、
剃刀
(
かみそり
)
が一寸も入って即死したと言うんです」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
声が
喉
(
のど
)
に引っかかってどうしても出て来なかった。それが大して苦痛でなしに叫び得るようになるまでには十日はたっぷりとかかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
玉子や肉の物ばかりですと少し
喉
(
のど
)
へ
触
(
さわ
)
る気味がありますからジャムのサンドイッチかあるいは野菜サンドイッチを一緒に食べます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
犬は土間に這入ると、
喉
(
のど
)
が乾いていたのだろう、そこにあったバケツの中の水をぴしゃぴしゃ音をさせてさもうまそうに呑んだ。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
遠方で打つ大砲の響きを聞くような、
路
(
みち
)
のない森に迷い込んだような心地がして、
喉
(
のど
)
が
渇
(
かわ
)
いて来て、それで涙が出そうで出ない。
まぼろし
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
喉
(
のど
)
の鎌形傷の始まるまえに、きまって切ッ先が
戦
(
そよ
)
いだような傷があるだろう。あれは、竿を合せる前にチラと籠手へかかった気合傷だ」
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「この坊ちゃんは、肥えているわい。この肌の白さは、どうじゃ。
胡桃
(
くるみ
)
の実で肥やしたんじゃな!」と
喉
(
のど
)
を鳴らして言いました。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ついに彼は、
喉
(
のど
)
のあるあたりの
頸
(
くび
)
に接吻し、そこに唇を長いあいだ押しあてていた。大尉の部屋から物音が聞えたので、彼は眼を上げた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
ちょうど、人間の手をすっかり隠してしまう手袋のような式に、
喉
(
のど
)
のあたりから上をすっぽり包んでしまう別製マスクであった。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
喉
(
のど
)
の
渇
(
かわ
)
いた人たちがいないというわけでもなかったが、その渇きは
水甕
(
みずがめ
)
よりもむしろ酒びんをほしがるような
類
(
たぐ
)
いのものだった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
もう少したって、今度は自分が、彼女よりも大きな声で、できるだけ大きな声で、
喉
(
のど
)
がつぶれるほど
喚
(
わめ
)
いてやろうと思っている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
踊
(
をど
)
つて
唄
(
うた
)
うて
渇
(
かつ
)
した
喉
(
のど
)
に
其處
(
そこ
)
に
瓜
(
うり
)
が
作
(
つく
)
つてあるのを
知
(
し
)
れば
竊
(
ひそか
)
に
瓜
(
うり
)
や
西瓜
(
すゐくわ
)
を
盗
(
ぬす
)
んで
路傍
(
みちばた
)
の
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
打
(
う
)
ち
割
(
わ
)
つた
皮
(
かは
)
を
投
(
な
)
げ
棄
(
す
)
てゝ
行
(
ゆ
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
他の一方には、
饒舌
(
じょうぜつ
)
な
雀
(
すずめ
)
や
喉
(
のど
)
を鳴らす
山鳩
(
やまばと
)
や美声の
鶫
(
つぐみ
)
が群がってる古木のある、古い修道院の庭の、日の照り渡った静寂さがたたえていた。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
その感情は
喉
(
のど
)
を詰らせるようになって来、身体からは平衝の感じがだんだん失われて来、もしそんな状態が長く続けば、そのある極点から
蒼穹
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
湯水さえ
喉
(
のど
)
に入らなかったのに、此の手紙を読んでは一層、思いはつのるばかり、中将が死んでは、私も生きてはいたくない。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
弟は恨めしそうな目つきをいたしましたが、また左の手で
喉
(
のど
)
をしっかり押えて、『医者がなんになる、あゝ苦しい、早く抜いてくれ、頼む』
高瀬舟
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
が、竹の落葉の上には、それらしい
跡
(
あと
)
も残っていません。また耳を澄ませて見ても、聞えるのはただ男の
喉
(
のど
)
に、
断末魔
(
だんまつま
)
の音がするだけです。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところがその多くの魚どもが申しますには、「この頃
鯛
(
たい
)
が
喉
(
のど
)
に骨をたてて物が食えないと言つております。きつとこれが取つたのでしよう」
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
しかしそのタラーの水も無駄にはならん。それを飲むと
喉
(
のど
)
の
渇
(
かわ
)
きを止めるにはごく都合がよい。少し酸味はあるがなかなか味のよいものです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
へい、
何
(
ど
)
うも
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます、
是
(
これ
)
は
何
(
ど
)
うも
大層
(
たいそう
)
奇麗
(
きれい
)
なお薬で。殿「ウム、早く
云
(
い
)
へば
水銀剤
(
みづかねざい
)
だな。登「へえー、
之
(
これ
)
を
飲
(
のみ
)
ましたら
喉
(
のど
)
が
潰
(
つぶ
)
れませう。 ...
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は胸の思いが
喉
(
のど
)
のところまで込み上げて来たが、なにぶんにもまだ魔法を続けていて、その歓喜も焦燥も表にあらわすわけにはゆかなかった。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
目
(
め
)
がさめて
後
(
のち
)
お
妃
(
きさき
)
は、
喉
(
のど
)
の中に
何
(
なに
)
か
固
(
かた
)
くしこるような、
玉
(
たま
)
でもくくんでいるような、
妙
(
みょう
)
なお
気持
(
きも
)
ちでしたが、やがてお
身重
(
みおも
)
におなりになりました。
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「俺は何て愚かな人間だか、自分でも
呆
(
あき
)
れるばかりだ……」痴川は
喉
(
のど
)
が通じるようになると、がっかりして嘆息した。彼はだんだん落付いてきた。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
其れを
紛
(
まぎ
)
らす
為
(
ため
)
に目を開いて何か唱歌でも歌はうと試みたが、
喉
(
のど
)
が
硬張
(
こはゞ
)
つて声が出無かつた。と、突然低い静かな声で
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
とまた
喉
(
のど
)
まで出かかって、私は呑み込んでしまいました。幾度聞いてみたからとて、そんなことは同じ返事だからです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
前項に引いた、英国の『ジョー・ミラー滑稽集』にいわく、行軍中の軍曹に犬が大口開いて飛びかかると、やにわに槍先を
喉
(
のど
)
に突き通して殺した。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「譲治さん、あたし
喉
(
のど
)
が渇いたから、何か飲む物を云って
頂戴
(
ちょうだい
)
。浜さん、あんた何がいい? レモン・スクォッシュ?」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ダァヰンの兄弟分ワレース博士は、蛇にのまるゝ
蛙
(
かわず
)
は苦しい処ではない、一種の
温味
(
おんみ
)
にうっとりとなって
快感
(
かいかん
)
を以て蛇の
喉
(
のど
)
を下るのだ、と云うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「よくよく何もなくてただほんの
喉
(
のど
)
しめしだよ。子どもらはどうしたろ。とうもろこしをとってみたらまだ早くてね」
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
四つめには「塩物ばかりでは
喉
(
のど
)
が
乾
(
かわ
)
く、
刺身
(
さしみ
)
を」といいだす。
乞食
(
こじき
)
のごとき者でさえも、その欲望を満たそうとすれば、どこまで行っても満足せぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
かれは赤が第一に耳をめがけてくることを知っていた、でかれはもし敵がとんできたら前足で一撃を食わしよろめくところを
喉
(
のど
)
にかみつこうと考えた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
僕は
喉
(
のど
)
もとまで食い足り満ち足りて、今や陶然たる気もちだ。もう何も欲しいものはない。中風になろうが
赤痢
(
せきり
)
で死のうが悔いなし、というところだ。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
それは
何
(
ど
)
の家家からも二階からも起るらしい艶めかしい笑い声と
交
(
まじ
)
って、かれの
喉
(
のど
)
すじを締めつけるような衝動的な調子でからみついてくるのであった。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
フト
気
(
き
)
がつくと、
先
(
さき
)
に
飛
(
と
)
んでゐるラランが
何
(
なに
)
が
旨味
(
うま
)
いものでもたべてゐるやうな
音
(
おと
)
をたてゝ、
喉
(
のど
)
を
気持
(
きもち
)
よく
鳴
(
なら
)
してゐる。ペンペはもう
我慢
(
がまん
)
ができないで
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
七郎丸は何か息苦しそうに
喉
(
のど
)
を詰らせて熱い手で僕の手を握った。「ああ、君に
遇
(
あ
)
ってしまったらどう話をはじめて好いやら解らなくなってしまった。」
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
それから、
予
(
かね
)
て行きつけの今から二時間ばかり前に一寸
覗
(
のぞ
)
いただけで入らなかつた其のバーに再び立ち寄つて熱いのを
喉
(
のど
)
に通はせてから家へ帰つて寝た。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
“喉(
咽喉
)”の解説
咽喉(いんこう)は、首の一部であり、頸椎の前方にある。内部は咽頭と喉頭から構成され、口の奥、食道と気管の上にある。咽喉の重要な特徴として、食道と気管を分け、食物が気管に入るのを防ぐ喉頭蓋がある。
咽喉には、咽頭と喉頭のほかにさまざまな血管と筋肉がある。哺乳類の咽喉にある骨は、舌骨と鎖骨だけである。
(出典:Wikipedia)
喉
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“喉”を含む語句
咽喉
喉頭
喉声
喉笛
喉佛
喉頸
咽喉頸
咽喉加答児
咽喉笛
咽喉仏
喉元
喉首
咽喉首
咽喉元
喉輪
喉音
喉仏
咽喉太
喉袋
咽喉部
...