出會であ)” の例文
新字:出会
わがくにごと地震國ぢしんこくおいては、地震ぢしん出會であつたときの適當てきとう心得こゝろえ絶對ぜつたい必要ひつようなるにもかゝらず、從來じゆうらいかようなものがけてゐた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
思ひがけなく私に出會であつてもそれを喜ぶものゝやうに、いつも何か一口言葉をかけたり、時に微笑ほゝゑみも見せるのであつた。
わたしは昨日きのふひるすこぎ、あの夫婦ふうふ出會であひました。そのときかぜいた拍子ひやうしに、牟子むし垂絹たれぎぬあがつたものですから、ちらりとをんなかほえたのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
父樣おとつさんいおかたで、それきりあとえるやうなわること爲置しおかれたかたではありませんから、わたくしどもは甚麽どんなあぶなこは出會であひましても、安心あんしんでございます。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
亞尼アンニー鳥渡ちよつと使つかひにましたとき波止塲はとばのほとりではからずも、たえひさしきその出會であつたのです。
そのかへりがけ、それは月夜つきよばんのことでありましたが、あの應神天皇おうじんてんのう伯孫はくそんときから百年ひやくねんほどまへあたる)の御陵ごりようまへとほりかゝると、非常ひじよう立派りつぱあかうまつてゐるひと出會であひました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
さうかといつて、この情熱じやうねつつくほどはげしい活動くわつどうには無論むろん出會であはなかつた。かれたかみやくつて、いたづらにむづがゆかれ身體からだなかながれた。かれ腕組うでぐみをして、ながら四方しはうやまながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
可哀かあいや我故身形みなりかまはず此寒空このさむそらあはせ一ツ寒き樣子は見せねども此頃は苦勞の故か面痩おもやせも見えて一入ひとしほ不便に思ふなり今宵は何方いづかたへ行しにや最早初更しよや近きにもどねば晝は身なり窶然みすぼらしく金の才覺さいかくにも出歩行あるかれぬ故夜に入て才覺に出行しか女の夜道は不用心ぶようじんもし惡者わるもの出會であはぬか提灯ちやうちんは持ち行しか是と云も皆我が身のある故なり生甲斐いきがひもなき身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
地震ぢしん出會であつた一瞬間いつしゆんかんこゝろ落着おちつきうしなつて狼狽ろうばいもすれば、いたづらにまど一方いつぽうのみにはしるものもある。平日へいじつ心得こゝろえりないひとにこれがおほい。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それはたゞ四つの道が出會であつた辻に立つてゐる石の柱に過ぎなかつた。その柱は、遠方からまた夜眼よめに、もつとはつきりさせる爲めだらう、白く塗られてあつた。
唯今たゞいまはなしをする、……わたし出會であひましたのは、うもにはつくつた大池おほいけつたらしい。もつとも、居周圍ゐまはりはしらあとらしいいしずゑ見當みあたりません。が、それとてもうもれたのかもれません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
伊豆南方いづなんぽう洋底ようてい航海中こうかいちゆう船舶せんぱく水柱みづばしら望見ぼうけんし、あるひ鳴動めいどうともなつて黒煙くろけむりのあがるのをることもあり、附近ふきん海面かいめん輕石かるいしうかんでゐるのに出會であふこともある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
或日の午後のことであつたが、彼は偶々たま/\庭で私とアデェルに出會であつた。
みぎのような次第しだいであるから、大地震だいぢしん出會であつたなら、最初さいしよ二三十秒間にさんじゆうびようかん場合ばあひによつては一分間位いつぷんかんぐらゐは、その位置環境いちかんきようによつては畏縮いしゆくせざるをないこともあらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)