黒扮装くろいでたち)” の例文
いて求めれば、ゆうべ矢矧やはぎの辺りで家中らしい黒扮装くろいでたちの卑怯者を、二人も斬り捨てたので、それを取り上げて、何か難題を迫るのではなかろうか。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
からっけつの尻端折しりっぱしょりかさ一蓋いちがいたッきりすずめと云うも恥かしい阿房鳥あほうどり黒扮装くろいでたちで、二見ヶ浦にねぐらを捜して
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
名は知らず、西洋種の見事な草花を真白まっしろな大鉢に植えて飾った蔭から遠くその半ばが見える、円形まるがた卓子テエブルを囲んで、同一おなじ黒扮装くろいでたち洋刀サアベルの輝く年少としわかな士官の一群ひとむれが飲んでいた。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)