鴻業こうぎょう)” の例文
余、常におもえらく、わが国明治の鴻業こうぎょう、一半すでに成りて一半いまだ成らず、政治上の革新すでに去りて、道徳上の革新いまだきたらずと。
この鴻業こうぎょう、この耀かがやきを、不朽ならしめんとするに当って、如何なる思召しやら、あなた様にはこのに至って、世の俗論をおそれ、一身の名分にばかりこだわり
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
既掲、頭山、杉山の項にも述べた通り、筑前藩の志士は維新の鴻業こうぎょう後、筑前閥を作る事が出来なかった。従って不平士族の数は他地方にまさるとも劣らなかった筈である。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
神祖(東照宮のこと)以来の鴻業こうぎょうを一朝に廃滅するは先霊に対しても恐れ入る次第であるが、畢竟ひっきょう天下を治め宸襟しんきんを安んじ奉るこそ神祖の盛業を継述するものである、と、慶喜に言われても
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
長崎警察署の不仁ふじんなる、人をる事宛然さながら犬猫なりしかば、一時は非常に憤慨せしもむかし徳川幕府が維新の鴻業こうぎょうあずかりて力ある志士を虐待ぎゃくたいせし例を思い浮べ、深く思いあきらめたりしが、今大阪にては
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)