高股たかもも)” の例文
一角だけは、覆面をせずに、野ばかまの高股たかももだち。そのそばにいて、鯉口こいぐちをつかんでいるのは森啓之助であろう。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
選んで討ち取る暇はない、真っ先に進んだ二人を、袈裟けさたおして向こうへ飛び、刀を返すと横一揮! ガッという悲鳴、仆れたのは、高股たかももスッパリ切られたのであろう。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
四、五人の高股たかももだちの侍が、前後を警備し、なんとなく世をはばかる風情が見える。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
落付き払った武者振只者に非ずと、利家諸鐙もろあぶみを合せて追掛けると、彼の武者また馬のこうべを返した。透間すきまもなく切り合い火花を散して戦っているうち、利家高股たかももを切られて馬から下へ落された。
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
高股たかももを切り落されて浮び出して来たのだった
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「しめた!」と叫んだ広太郎、片膝敷くとすくい斬り、敵の高股たかももへ斬りつけた。「どっこい!」とわめいた城之介、もろに飛び返ると鉄杖の先、伸ばして広太郎の胸を突いた。危うく渡して立ちなおる。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)