驕児きょうじ)” の例文
旧字:驕兒
(裏日本からは、丹波の波多野を始め、越前の残党も、あわせてふるい立ち、驕児きょうじ信長を、中央につつんで、ふくろ叩きとする)
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ勝敗は兵家の常なり。蘇東坡そとうば所謂いわゆるえきする者も日に勝って日にやぶるゝものなり。然るに一敗の故を以て、老将を退け、驕児きょうじを挙ぐ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さすがに病床の粥腹かゆばらでは、日頃、日本のあらゆる現代作家を冷笑している高慢無礼の驕児きょうじも、その特異の才能の片鱗へんりんを、ちらと見せただけで
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
一代の驕児きょうじ高山樗牛ちょぎゅうが、一葉丈には頭を下げたのも無理はありませんよ。僕は明治時代第一の文豪として一葉を推しますね。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
十八世紀の驕児きょうじモーツァルト——全身全霊美に溺れて飽くことを知らなかったモーツァルトを、こう冷たく美しく演奏することはまた一つの考え方である。
緑雨は定めしこけの下でニヤリニヤリと脂下やにさがってるだろう。だが、江戸の作者の伝統を引いた最後の一人たる緑雨の作は過渡期の驕児きょうじの不遇の悶えとして存在の理由がある。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
故に彼は慰撫馴養じゅんよう、あたかも驕児きょうじを遇する如く、その厄介をなさしめざらんと欲せり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
と、言ったりしたので、この驕児きょうじはなおいい気になって悪四郎の悪名を自慢にしていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若き頃、世にも興ある驕児きょうじたり
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかも、高時という驕児きょうじは、噴火山上に、昼の手枕だ。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)