駕籠舁かごか)” の例文
「どうもおかしい」紋太夫は腕組みをして首をひねった、「おまえの云うことを聞いていると駕籠舁かごかきか魚屋とでも話してるようだ、 ...
評釈勘忍記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
産まれながらの駕籠舁かごかき稼業で息杖を放なさぬはだか武兵衛は、自然と棒の使い方も覚えて、ヤッと構えた身体にはそれこそ一分の隙もない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
往来をせ過ぎる駕籠舁かごかきの声、——その外には何も聞えなかつた。しかし数秒の沈黙の後、まつ暗だつた台所は何時の間にかぼんやり明るみ始めた。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この家の駕籠舁かごかきのひとり、得印門下平鍛冶ひらかじの大男、ゆうべ五梃かごをかついで来たのが、一人であわただしく駈け戻ってきたらしく肩でゼイゼイ声も出ずに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
下男下女おちゃこ駕籠舁かごかき人力車夫等への纏頭てんとうにも思い切った額をはずんだ。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「見るとおりさ」と、玄一郎の問いに対して一人のずぬけた巨漢が答えた、「……それとも駕籠舁かごかき馬子とでも思うかね」
山だち問答 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
源介という駕籠舁かごかきが、いずれ濁酒どぶろくでも飲んだのであろう、秋だというのに下帯一つ、いいご機嫌で歩いていた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ちょっと駕籠舁かごかきが足をゆるめて、駕籠が停まりかけた。そこを、長庵は狙っていたのだ。医者とは言え、あぶれ者の長庵のことだから、九寸五分ぐらいは何時いつだって呑んでいる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
伊達家の下屋敷は、品川の宿しゅくを出はずれた荏原郡えばらごおり大井村おおいむらにある。その門前へ近づいたとき、駕籠舁かごかきが「旦那、伊達さまのお屋敷になにかありますぜ」
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
背後うしろの足跡はこれと反対に、つま先が深く雪へはいっている。これはつま先へ力を入れた証拠だ。ところで駕籠舁かごかきという者は、先棒担さきぼうかつぎはきっとる。反って中心を取ろうとする。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
どちらも酔っているらしい、言葉つきから察すると、馬子まご駕籠舁かごかきのように思えた。
その木戸を通って (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
美作をさえぎって往来みちの中央へ、たむろするようにたたずんでいる、十人の一団は武士が四人に駕籠舁かごかきが二人に女が四人という、まことに変わった一団であって、武士はいずれも年が若く
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「二人は駕籠舁かごかき、一人は武辺者、そうして一人は若い女……」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
駕籠舁かごかきが娘を駕籠へ乗せて、今やさらって行こうとしていた。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)