駅夫えきふ)” の例文
旧字:驛夫
往って見ると此は不覚ふかくがしまって居る。駅夫えきふに聞くと、睡むそうな声して、四時半まではあけぬと云う。まだ二時前である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
丁度ちやうど其時大島の重ねに同じ羽織を着て薄鼠の縮緬の絞りの兵児へこ帯をした、口許くちもとの締つた地蔵眉の色の白い男が駅夫えきふに青い切符を渡して居た。
御門主 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
駅夫えきふが鈴を鳴らして構内を歩きまわりはじめた。それとともに場内は一時にざわめきだして、人々はひとりでに浮足になった。婆やはもう新井田の奥さんどころではなかった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「もし、もし、もし……駅員えきゐんかたえきかた——駅夫えきふさん……」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
駅夫えきふ呼声よびごへなんとなくしずんできこえた、もー八時近くである
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
若き駅夫えきふの眼をも忘れず
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)