馬舎うまや)” の例文
ポポーヷ (伏眼になって)ルカー、おまえ馬舎うまやへ行ってね、今日はトビーにカラス麦を一粒ひとつぶもやらないように、言って来ておくれ。
ここの家にもあるが、何処の旅籠屋にも、馬舎うまやが付きものになっていて人間の宿屋というより、馬の宿屋といったほうが近かった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが、何故なぜかというと、三誠社という馬車うまぐるまを扱う大きな運送店があって、その前身が、伝馬町の大牢の、咎人とがにんの引廻しの馬舎うまやだったというのだ。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いぶかしけれど門の中に入りて見るに、大なる庭にて紅白の花一面に咲きにわとり多く遊べり。その庭をうらの方へまわれば、牛小屋ありて牛多くおり、馬舎うまやありて馬多くおれども、一向に人はおらず。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ポポーヷ どうぞお願いですから、そんな大きな声をなさらないで! ここは馬舎うまやではございません!
味方の目をしのんで、一さんに、ふもとへ走っていった小幡民部こばたみんぶとほかふたりは、やがて、夜のしらしら明けに、ふもと馬舎うまやから三とう駿馬しゅんめをよりだして、ヒラリと、それへまたがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬をはずしておけ! すぐは立たんからな! おれは当分ここにいるんだ! 馬舎うまやへ行って、うちの馬にカラス麦をやるようにそう言え! ええこの野郎、また左の副え馬が
いずれ、馬舎うまやの馬丁か、浦人の小者かであろうと思い、小次郎は
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)