餓鬼大将がきだいしょう)” の例文
旧字:餓鬼大將
そうしてこれからこの餓鬼大将がきだいしょうであった兄と不愉快な言葉を交換して、わが家を出なければならないという変化におもい及んだ。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、このとんぼぐみ餓鬼大将がきだいしょうとかげ口をいわれているものは、結城秀康ゆうきひでやすの子で家康いえやすにはまごにあたる、徳川万千代とくがわまんちよである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子供の正一しょういちも家の冷い空気に当ると、外の餓鬼大将がきだいしょうにわかにしおしおして了うのだった。
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
私たちの餓鬼大将がきだいしょうであった中学生の実さんがいて、実さんが私を見かけて、「清ちゃん、どこへ行くの?」と呼びかけたのを聞き流して行くと、いきなり後から大きなで目隠しをされた。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
餓鬼大将がきだいしょう、とくいになって
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「小さい内から悪戯いたずらものでね。あいつが餓鬼大将がきだいしょうになってよく喧嘩けんかをしに行った事がありますよ」と坂井は御互の子供の時の事まで一口らした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
秀吉はときどき、尾張おわり中村なかむらで村の餓鬼大将がきだいしょうだった時代のような言葉づかいを、ちょいちょいつかう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家康いえやすまご徳川万千代とくがわまんちよ餓鬼大将がきだいしょうといただく、お小姓こしょうとんぼぐみ面々めんめんである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小供の時分喧嘩をして、餓鬼大将がきだいしょうのために頸筋くびすじつらまえられて、うんと精一杯に土塀どべいし付けられた時の顔が四十年後の今日こんにちまで、因果いんがをなしておりはせぬかとあやしまるるくらい平坦な顔である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)