鞍掛くらかけ)” の例文
これは素姓を包むわけでもないから、すぐ判ってしまったよ。一人は芸州浪人鞍掛くらかけ宇八郎——こっちに死んでいる浪人者だ。
眼を遮るは濃青のうせいの脈々たる岩壁である。その下の鞍掛くらかけ岩。その左はひらけた下流の空の笠置かさぎ山。雲だ、雲だ、雲だ。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「えゝ、しかし昨日は鞍掛くらかけでまるで一面の篠笹しのざさ、とてもふもよぢるもできませんでした。」
柳沢 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
箱根山はこねやまかたちからいへば複式火山ふくしきかざん經歴けいれきからいへば死火山しかざん外輪山がいりんざん金時きんとき明神みようじん明星みようじよう鞍掛くらかけ三國みくに諸山しよざん中央火口丘ちゆうおうかこうきゆう冠岳かんむりだけ駒ヶ岳こまがだけ二子山ふたこやま神山かみやまとう、さうして最後さいご活動場所かつどうばしよ大涌谷おほわくだにであつて
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
これから先は、雨乞あまごい鞍掛くらかけ鳳来ほうらいたけと、山また山ばかり。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは素姓を包むわけでもないから、直ぐ判つてしまつたよ。一人は藝州浪人鞍掛くらかけ宇八郎——此方に死んでゐる浪人者だ。
「みんな解ったよ、鞍掛くらかけ宇八郎を殺した奴も、——盗んだ金を隠した場所も」
「皆んな解つたよ、鞍掛くらかけ宇八郎を殺した奴も、——盜んだ金を隱した場所も」
鞍掛くらかけ宇八郎——」
鞍掛くらかけ宇八郎——」