雍正ようせい)” の例文
清の雍正ようせい年間。草原。処々に柳の立木あり。その間に荒廃せる礼拝堂見ゆ。村の娘三人、いずれもかごを腕にかけつつ、よもぎなぞを摘みつつあり。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しん朝もその国初の康煕こうき雍正ようせい乾隆けんりゅうの百三十余年間はめざましい文運隆昌の時代で、嘉慶かけいに至って漸く衰えはじめました。
昨日みのこした工芸品の蒐集しゅうしゅうを、何か腑抜ふぬけたやうな気持で眺めてまはつた。まあ雍正ようせいだの李朝りちょうだの青花せいかだのといふたぐひだつたが、なかに不思議なものがあつた。
夜の鳥 (新字旧仮名) / 神西清(著)
有名な徐葆光じょほこうの『中山伝信録ちゅうざんでんしんろく』が、ちょうど世に公けにせられた頃に、琉球では雍正ようせい九年(一七三一)の朝議というものがあって、是が大きな問題となり、その文書は今も伝わっている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しん雍正ようせい十年六月の夜に大雷雨がおこって、けん県の県城の西にある某村では、村民なにがしが落雷に撃たれて死んだ。
あがきたり候………「八重山旧記帳、雍正ようせい五年(一七二七)。南島聞書にる。」
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
清の雍正ようせい年間、内城の某家で息子のためによめめとることになった。新婦の里方さとかた大家たいけで、沙河門外に住んでいた。
雍正ようせいの末年である。東光とうこう城内で或る夜、家々の犬が一斉に吠えはじめた。その声はうしおの湧くが如くである。