陸離りくり)” の例文
余の病中に、空漠くうばくなる余の頭に陸離りくりの光彩をんでくれたジェームス教授も余の知らない間にいつか死んでいた。二人に謝すべき余はただ一人生き残っている。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いしみな奇状両岸に羅列す、あるい峙立じりつして柱のごとく、或は折裂せつれつして門のごとく、或は渇驥かっきの間に飲むが如く、或は臥牛がぎゅうの道に横たわる如く、五色ごしき陸離りくりとして相間あいまじわり、しゅんおおむね大小の斧劈ふへき
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
僧侶の勝れた布教があって、陸離りくりたる光彩を放つものである。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
光彩陸離りくりたる個性を表わしているのである。
青春論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)