陰湿いんしつ)” の例文
旧字:陰濕
陰湿いんしつ穴蔵部屋あなぐらべや、手さぐりで近寄ちかよると、鉄格子てつごうしさびがザラザラ落ちた。すると、ウーム……とうめきだしたかすかな人声。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陰湿いんしつあせうるみゆる時
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さて、彼が台所方の職に就いて見ると、第一に、そこの薄暗いことと、陰湿いんしつなことと、不潔なことが、目についた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陰湿いんしつのにほひつめたく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蟋蟀こおろぎ、みみず、陰湿いんしつな虫が昼間でもチチといている牢露地をぬけると、塀際の隅に、低い、石倉がある。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俗に、霧谷とよぶくらい、そこは、二六時中しょっちゅう、霧のれたことのない陰湿いんしつさわだった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし何べん見ても、そこ一面は、やはり厚ぼったい闇が陰湿いんしつにこめてあるのみだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、野猪のじしのような勢いで陰湿いんしつな奥の一トへ躍り込んだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すッくと高いえのきの木が、そのやぶの陰を陰湿いんしつにして——
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)