陰忍いんにん)” の例文
其年そのとし京都きやうとふゆは、おとてずにはだとほ陰忍いんにんたちのものであつた。安井やすゐこの惡性あくしやう寒氣かんきてられて、ひどいインフルエンザにかゝつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つとめて陰忍いんにんして枝も十分に張らずにゐるが、一度それを乗り越したとなると、大きな枝を縦横に張つて、今まで押へられてゐた隣の樹をすつかり蔽つて了ふやうにはびこるのなども面白い。
樹木と空飛ぶ鳥 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
その年の京都の冬は、音を立てずに肌をとお陰忍いんにんたちのものであった。安井はこの悪性の寒気かんきにあてられて、ひどいインフルエンザにかかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)