間着あいぎ)” の例文
「よくいらしってね。その間着あいぎのよくお似合いになる事。春らしいいい色地ですわ。今倉地とけをしていた所。早くお上がり遊ばせ」
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
其処へ瓦を張った部屋には、敷物もなければ、ストオヴもない。坐るのは勿論蒲団のない、角張った紫檀の肘掛椅子である。おまけに私の着ていたのは、薄いセルの間着あいぎだった。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
間着あいぎは紅梅地に百花を色とりどりに染めたものだし、打掛うちかけ綸子りんずらしい白地に唐扇と菊花ぢらしで、金糸の縫がある帯は桔梗ききょう色の地に唐草と蝶、これにも金糸の縫が入っていた。
竹柏記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さびしい目鼻立のようだけれども、厚化粧をすると実に引き立つ顔で、二尺に余る袖丈そでたけ金紗きんしゃとジョウゼットの間子織あいのこおりのような、単衣ひとえ羅衣うすもの間着あいぎを着ているのが、こっくりした紫地に
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
竜之助の前には、宇津木の妹という、島田に振袖ふりそでを着て、緋縮緬ひぢりめん間着あいぎ鶸色繻子ひわいろじゅすの帯、引締まった着こなしで、年は十八九の、やや才気ばしった美人が、しおらしげに坐っています。
そうして、ジャンパーと、それから間着あいぎの背広服を一揃い持っている。
渡り鳥 (新字新仮名) / 太宰治(著)
上着をがるれば下は間着あいぎ