間拍子まびょうし)” の例文
とただ間拍子まびょうしもなく、女房の言いぐさに返事をする、俊吉の膝へ、と膝をのっかかるようにして盆ごと茶碗を出したのである。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吉事の支度には三本杵が用いられた。すなわち三人の女性が是に参与したので、臼に伴なう古来の民謡はいずれもこの手杵の操作をその間拍子まびょうしに用いている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは運動の間拍子まびょうしとも考え合せて見るべきものであろうが、とにかく意味もわからぬ語がながく伝わるには、別にそれぞれの理由が隠れて存するものと見てよい。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
すなわちまた、その伝で、大福あったかいと、向う見ずに遣った処、手遊屋おもちゃやおんなは、腰のまわりに火の気が無いので、膝が露出むきだしに大道へ、茣蓙ござの薄霜に間拍子まびょうしも無く並んだのである。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
思わず手ぶりを真似まね間拍子まびょうしに乗って、しまいには我知らず人数に加わってゆくというような習性が空也くうや以前、「八幡種蒔はちまんたねまく」よりももっと昔から、すでにこの島国の住民たちの
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
遊びはもともと輪を作って開いたりつぼんだり、立ったりかがんだりするのが眼目がんもくであった。そうして歌は、またその動作と、完全に間拍子まびょうしがあっている。作者がほかにあったろうと思われぬのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)