長煙草ながぎせる)” の例文
朱羅宇しゅらう長煙草ながぎせるで、片靨かたえくぼ煙草たばこを吹かしながら田舎の媽々かかあと、引解ひっときもののの掛引をしていたのをたと言う……その直後である……浜町の鳥料理。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
奥から引返ひっかえして出たのはお夏、五七人の男を対手あいてに、いかに負けじとてどうする事ぞ、右手めて長煙草ながぎせるひっさげたり。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
膝下ひざもとへ呼び出して、長煙草ながぎせる打擲ひっぱたいて、ぬかさせるすうではなし、もともと念晴しだけのこと、縄着なわつき邸内やしきうちから出すまいという奥様の思召し、また爺さんの方でも、神業かみわざで、当人が分ってからが
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ突立つったったままで、誰も人の立たぬ店のさみしい灯先ひさきに、長煙草ながぎせるを、と横に取って細いぼろ切れを引掛ひっかけて、のろのろと取ったり引いたり、脂通やにどおしの針線はりがねに黒くうねってからむのが、かかる折から
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)