「その怪談が大変なんで、一と月も前から成瀬屋の一家を鏖殺しにするという蝙蝠冠兵衛の手紙が三本も来ているじゃありませんか」
そしていよいよ今夜こそ、生不動の仕返しに、笊組の目星い奴等を、鏖殺しにしてくりょうと、いきまきながら、杯を廻している。
その飛降り自殺者こそ、外ならぬ川手氏一家鏖殺しの共犯人、例の眼帯の男であることが分ったからだ。
成程これは残酷だ! 若しも彼等がお通夜帰りに婚礼を訪れたとしたら、担ぎやの頑固ぢぢいは家の子郎党に棍棒を握らせて鏖殺しにするまでは腹の虫がおさまらないに相違ない。