金切かなき)” の例文
「おそらくそれは馬鹿な話だろうよ。君はあの金切かなきり声を聞かなかったかね。たぶん、それは迷信だろうよ。君は今どうお考えだね」
玉太郎は、その場の光景に気絶きぜつしそうになり、自分でもどうしてそんな声が出たかと思うほどのすごい金切かなきり声を発した。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雌の河童はなにかの拍子にふとこの雄の河童を見ると「大変たいへんです! 助けてください! あの河童はわたしを殺そうとするのです!」と金切かなきり声を出して叫びました。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
とおばあさんは金切かなきごえげて、一生懸命いっしょうけんめいしました。そしてやっとのことで、半分はんぶんんだようにまっさおになって、うちの中にかけみますと、おじいさんはびっくりして
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
風鳥ふうちょうのようにまろびこんで、恐怖を装った金切かなきり声に、御守殿たちを驚かせました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「貧乏教師の癖に生意気じゃありませんか」と例の金切かなきごえを振り立てる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物思いにふけっていた敬二は、いきなり黄いろい女の金切かなきり声とともに、腕をムズとつかまれた。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おれ達は、この小仏を帳場にしている悪玉ぞろいの人足だ、それに見込みをつけられた以上、どう騒いだところで追ッつかねえんだから、月並つきなみ金切かなきり声をあげねえで往生しちまえッ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急に、か、金切かなきごえなど出しやがって。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
涙まじりの金切かなきり声になった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)