酒甕さけがめ)” の例文
寝台の側に大酒甕さけがめ形の立卓笥キャビネットがあるのみで、その上には、芯の折れた鉛筆をつけたメモと、被害者がる時に取り外したらしい近視二十四度の鼈甲べっこう眼鏡、それに
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
私は近くの村で三十年も使っているという酒甕さけがめを見た。だが今作っているものと寸分の違いがない。
日田の皿山 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そして女の金蛇きんだ腕環うでわを取って、そこからつかみ出すやいな、土間の一隅にけてあった三箇の大きな酒甕さけがめのうちの一つへ、女将おかみの体をさかしまにほうり込んでしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんでけがれ*がある、この酒甕さけがめに?
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
「ばかアいえ、そっちにある青花せいか模様の酒甕さけがめのを、おれにも二かくほど貰おうか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この宵、妓家のたくわえの大きな酒甕さけがめは、幾壺いくこをカラにしたことか。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、その晩は、羊をほふり、酒甕さけがめを開いて、一同をもてなした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)