邪道じゃどう)” の例文
邪道じゃどうであるけれども、商売上であれば、採算のとれるようにするのが第一義で、料理は第二義。ここに堕落だらくがある。しかし、仕方のないことである。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
……もっとも、そんなことに大きな期待をかけるのは、平凡人へいぼんじんの共同生活をねらいにしているこの塾では邪道じゃどうだって、先生にはいつもしかられていますけれど。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
暴力のみで、自分の意志を押し通そうというのは、神の憎みたまう最も邪道じゃどうである。目を開け、トロ族の諸君。君たちは神の道に反して、僕を暴力によって殺害しようとしている。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
現象の実体も知らずに方法論に拘泥こうでいするのは、研究者が往々にしておちい邪道じゃどうである。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
かくのごとき人の心には余裕がある。すなわち生木なまきのようなる弾力だんりょくがあって、世の変遷へんせんとともに進む能力を保留している。「老木ろうぼくまがらぬ」とは邪道じゃどうに迷わぬの意より弾力なきを笑うの言である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
わたくしは一体多門よりも数馬に望みをしょくして居りました。多門の芸はこせついて居りまする。いかに卑怯ひきょうなことをしても、ただ勝ちさえ致せばいと、勝負ばかり心がける邪道じゃどうの芸でございまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)