ムラ)” の例文
さうして、女たちの刈りとつた蓮積み車が、廬に戻つて来ると、何よりも先に、田居への降り道に見た、当麻のムラの騒ぎのウハサである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
真に用うる具眼者ぐがんしゃがいないのじゃ。孔子もいっているではないか。——十シツムラニハ必ズ忠信ノ人アリ——と。何でこの広い諸国に俊傑がいないといえよう
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当麻のムラまで、をとゝひの中に行つて居たこと、寺からは、昨日午後横佩墻内カキツへ知らせが届いたこと其外ソノホカには、何も聞きこむ間のなかつたことまで。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
その南北にワタつてゐる長い光りの筋が、北の端で急に広がつて見えるのは、凡河内オホシカフチムラのあたりであらう。其へ、山間ヤマアヒを出たばかりの堅塩カタシホ川—大和川—が落ちあつて居るのだ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)