遺詔いしょう)” の例文
諸州の義士は、かえって、この悲報と遺詔いしょうによって、いちばい奮い立ッてくるかもしれず——尊氏が思うつぼにはまってはなりますまい。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて公卿たちの腹もさだまり、遺詔いしょうげきと共に、全国の宮方へ通達され、あくまで吉野死守の結束を新たにしていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遺孤みなしごの寄託、大業の達成。——寝ても醒めても「先帝の遺詔いしょう」にこたえんとする権化ごんげのすがたこそ、それからの孔明の全生活、全人格であった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄徳の遺詔いしょうをむりだとはしなかった。出師の表一千余字、かりそめにも恨みがましい辞句などはない。ことばの裏にすらうかがわれないのである。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたは一族の宗兄、かつは先帝から、みなしごを託すぞと、親しく遺詔いしょうをうけておられるお方ではないか。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われ先帝よりみなしごを託すの遺詔いしょうかしこみ、魏とともに天をいただかず、年来、暖衣を退け、飽食を知らず、夢寐むびにも兵馬を磨きてまざるものは、ただただ反国の逆賊を誅滅ちゅうめつ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陛下また宜しくみずからはかり以て善道を諮諏ししゅし、雅言がげんを察納し、ふかく先帝の遺詔いしょうを追わせたまえ。臣、恩をうくるの感激にたえざるに、今まさに遠く離れまつるべし。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「聞け、仲達。汝は、先帝より親しく、みなしごを託すぞとの、畏き遺詔いしょうを承けた者の一人ではないか。何とて、謀叛むほんをたくらむぞ。ここより一歩でも入ってみよ、目にもの見せん」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死にのぞんで、その後嵯峨は、次のような遺詔いしょう(ご遺言)まで残されていたとある。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)