“過来”の読み方と例文
読み方割合
すぎこ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かくて、吾等われら二人は、過来すぎこかたをふりかへる旅人か。また暮れく今日の一日ひとひを思ひ返して、燃えいずる同じ心の祈祷きとうと共に、その手、その声、その魂を結びあはしつ。
貫一もこれをりて、余所よそながら過来すぎこくりやに、酒の、物煮る匂頻にほひしきりて、奥よりは絶えず人の通ふ乱響ひしめきしたる、来客などやと覚えつつ、畔柳が詰所なるべき一間ひとまに導かれぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ぬしありながら岐道ふたみちかけて、瀬十郎ぬしと浅からず、ちぎりし罪の報い来て、いける地獄に堕ちにけん、世に薄命なる女子をなごはあれども、わが身に増るものあるべしやと、過来すぎこしかたを胸にのみ
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)