迂回うくわい)” の例文
この深山しんざんすこしばかり迂回うくわいしてかへつたとて、左程さほどおそくもなるまい、またきわめて趣味しゆみあることだらうとかんがへたので、わたくし發議はつぎした。
と云つて、問題が其所そこれなければ、忠告も助言も全く無益である。代助は仕方しかたなしに迂回うくわいした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これは城と東町奉行所とに接してゐる天満橋を避けて、迂回うくわいして船場せんばに向はうとするのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
父は五つになる僕を背負ひ、母は入用いりようの荷物を負うて、青根あをね温泉に湯治たうぢに行つたことがある。青根温泉は蔵王山を越えて行くことも出来るが、そのふもとを縫うて迂回うくわいして行くことも出来る。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
河は迂回うくわいして海にそそいでゐるので、そはの下では甘い水とからい水とが出合つてゐるのである。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)