こま)” の例文
踊の組子なら影の垣に引っこまされてスターにだけ浴せかけられる取って置きの金色照明を浴びたようで何だか恥かしい——わたしは威張って見えやしないだろうか。
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
朝戸を開ければ会の手拭の五六本も投げこまれて交際つきあいの張る事は知らないのだろう、お前さんじゃア分らないから、分る者をおよこしなさい、お村は直ぐに帰しておくれ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのお礼としてはいざ汽車へ乗って帰ろうという間際なぞにきまってりもせぬ見掛みかけばかり大きな土産物みやげものをば、まさか見る前で捨てられもせず、帰りの道中の荷厄介にと背負しょこませられる。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
泥坊が脇差を抜いたから驚いて己が川へ駈け込んだのかほうこまれたのかちっとも分らないが、お刀を脊負って来たに違いないのが、無いからには取られちまったのか、あゝ飛んだ事をしちまった