跳付はねつ)” の例文
正面から飛びかゝつて父から、手ひどく跳付はねつけられた悪魔は、今度は横合から、そつとたぶらかさうと掛つてゐるのだつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
気に喰わない学校の卒業証書を恩恵的にもらう必要はないと、キビキビ跳付はねつけてプイと退学してしまった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「ナニネ、本田が今日僕に或人の所へ往ッておひげちりを払わないかと云ッたから、失敬な事を云うと思ッてピッタリ跳付はねつけてやッたら、痩我慢と云わんばかりに云やアがッた」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
重井をたずねて、身を托せんと思い立ちしに、その妾おりゅうのために一言いちごんにして跳付はねつけられ、むなく博士某のていに生みの母なる富子夫人を尋ぬれば、これまた面会すらも断わられて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
正面から飛びかゝって父から、手ひどく跳付はねつけられた悪魔は、今度は横合から、そっとたぶらかそうと掛っているのだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
よって至誠は天をも感ずるとか云う古賢こげんの格言を力にして、折さえ有ればつとめて叔母の機嫌きげんを取ッて見るが、お政は油紙に水を注ぐように、跳付はねつけて而已のみいてさらに取合わず、そして独りでジレている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それだのに、彼女はそれを冷然と跳付はねつけたのです。いや、跳付けたばかりではありません。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)