跪居ついい)” の例文
座敷でやみから不意にそれを。明さんは、手を取合ったはあだおんな、と気が着くと、ふすまも壁も、大紅蓮だいぐれん跪居ついいる畳は針のむしろ
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
塀の外をちらほらと人の通るのが、小さな節穴をすかしてはるかに昼の影燈籠かげどうろうのように見えるのを、じっみまもって、忘れたように跪居ついいる犬を、勇美子はてのひらではたと打って
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おどかして上げましょうと思ったんだけれども。」と、笑って串戯じょうだんを言いながら、かめなる花と対丈ついたけに、そこに娘が跪居ついいるので、かれは謹んで板に片手をいたのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
美女、据置かるるさまに椅子に掛く。女房はそのもすそ跪居ついいる。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)