走狗そうく)” の例文
米国の汎アメリカニズムと×××××××の矛盾は益々増大しつつあると、中国国民党の走狗そうくどもは云っているが、これは間違いである。
人間レコード (新字新仮名) / 夢野久作(著)
本来ならそうした抗戦運動の指導者になる筈の知識人たちが、日本の場合は隠遁的ポオズだったり反って軍閥の走狗そうくとなった例が圧倒的に多い。
さようなら (新字新仮名) / 田中英光(著)
「よういいきかせます。宮方へらねば、鎌倉方の走狗そうくに狩り立てられましょう。それよりは、いっそと観念させまする」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「支那で金儲けをしたい資本家の言いなりになって、日本の政府も軍部も、資本家の走狗そうくとなっているからだと見ている」
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
役人達は武をとりひしいで杖で叔父と一緒にたたいた。役人達は皆御史の家の走狗そうくであった。恒はよぼよぼした老人であったから、打つ杖の数がまだ半分にもならないうちに死んでしまった。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「だがこいつらは滝川内膳の走狗そうくだぞ」
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
なんとなれば、木曾の木曾義昌きそよしまさ、きゃつも昔は武田家たけだけの忠族であったが、いまでは徳川家とくがわけ走狗そうくとなっている、かならず若君に弓をひくやつであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしら父子にくみすよりは、日のたつほど呂布にへつらい、呂布の走狗そうくとなってゆくに違いない。さすれば却って、虎に翼を添えてやるようなものだ。呂布を殺す時の邪魔者になる……
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここまで登ってくる途中でも、犠牲にえになった幾人もの斬口てぐちをみたが、汝、あたら天禀てんぴんの才腕をもって、時勢の反抗児となり、幕府の走狗そうくになって、無為に終るのはつまらんではないか」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)