-
トップ
>
-
貴下
>
-
こなた
若しも
貴下が、
世間で
言ふやうに、
阿呆の
極樂へ
姫さまを
伴れて
行かっしゃるやうならば、ほんに/\、
世間で
言ふ
通り、
不埓な
事ぢゃ。
乳母 もしえ、この
指輪は
姫さまから、わしに
貴下へ
上げませいと
言うて。さ、
速う、
急がしゃれ、
甚う
夜が
深けたによって。
もう
今宵は
晩うござる、
女は
降りては
參るまいぢゃまで。
貴下がござったればこそ、さもなくば
吾等とても、一
時も
前に、
臥床んだでござらう。